第10回 日本近代文学館 in のレポート

「人生に、文学を。」オープン講座

【in 日本近代文学館 2017年12月9日(土)】

記念すべき第10回目の講師は、島田雅彦さん。都内でありながら自然に囲まれた閑静な駒場公園内にある、日本近代文学館での開催でした。今回のテーマは、「歩け、歩き続けよ」。「歩く」という人間の営みを軸に、文学にとどまらず、さまざまなジャンルの表象文化をたっぷりと語っていただきました。島田さんの軽妙な語り口に誘われて、会場は終始、和やかな雰囲気に包まれました。

第10講 講師 島田雅彦さん
「歩け、歩き続けよ」

島田雅彦さん講義より抜粋

『いろいろな諸事情により、私たち人間は好奇心を抱きつつ、なんとなく「ほっつき歩く」というようにできています。これは、文化が――生活習慣・環境が違っても、共通しているように思われます。古代ギリシアの英雄叙事詩からはじまって古典文学、中世、近世文学を読んでみると、主人公がどこかをさまよったりほっつき歩いたりしなければ、文学作品そのものが成立していない、そう言っていいほどに、過去の主人公たちは歩き回っています。ドストエフスキーの『罪と罰』でも、ラスコーリニコフがペテルブルグの町を歩き出さなければ、何も始まらなかったんですね。』

第9講 春風亭昇太さん

イントロダクション

まずは人類史に触れた島田さん。私たちの大きな財産のひとつとして「多様性をもった知性」を挙げ、その知性が芸術への関心につながっていると話します。さらには、そのクリエイティブ性に多大な影響を与えてきたのが「ほっつき歩くこと」だったと論を展開。古代ギリシアの英雄叙事詩から近現代文学、課題図書の2冊にも触れつつ、テーマの核心へと進んでいきます。

イントロダクション

島田雅彦さんの講義はコチラ

第10講 「歩け、歩き続けよ」

講座日時 2017年 12月9日 13:00~14:30
募集人数 50名様
島田雅彦さん メッセージ 古来より、放浪、徘徊、散歩は文学の主要テーマであった。英雄たちの遍歴、巡礼、哲学者の散歩、敗者の逃走、青年の放浪、ディアスポラ。人類が直立歩行を始めて以来の人類のこの宿命の営みが内包する意味を考え尽くす。
課題図書 こちらの「課題図書」2冊を必ずお読みの上、ご参加ください。
『孤独な散歩者の夢想』
ルソー著
新潮文庫
『孤独な散歩者の夢想』 ルソー著 新潮文庫
『武蔵野夫人』
大岡昇平著
新潮文庫
『武蔵野夫人』 大岡昇平著 新潮文庫

島田雅彦プロフィール

1961年、東京都生まれ。

東京外国語大学在学中の1983年、『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー、芥川龍之介賞の候補となる。1992年、『彼岸先生』(泉鏡花文学賞)、2006年、『退廃姉妹』(伊藤整文学賞)、『カオスの娘』(芸術選奨文部科学大臣賞受賞)。最新作は『カタストロフ・マニア』。2010年下半期より芥川賞選考委員に。2003年からは法政大学国際文化学部教授。