第2回 in 関西大学のレポート

「人生に、文学を。」オープン講座

【in 関西大学 梅田キャンパス 2016年12月3日(土)】

第二回目は、講師に芥川賞作家の小川洋子さんと直木賞作家の葉室麟さんをお招きし、今年130周年を迎え10月にオープンした関西大学梅田キャンパス「KANDAI Me RISE(みらいず)」で開催。両講座、約60名の方が関西大学に集まりました。
小説はどうやって生み出されるのか(小川さん)、時代小説に込める作家の思い(葉室さん)などについて、講義とディスカッションが行われました。

第3講  講師 小川 洋子さん「小説の生まれる場所」
司会進行 大川 繁樹 文藝春秋編集担当

小川洋子さん講義より抜粋

『―当然ながら小説をどう読むかというのは、まったくお一人お一人の自由であって、作者が口を挟む問題ではありませんし、たとえ私が意図したことを真逆に取られたり、ちょっと見当違いだなと思う意見をぶつけられたとしても、作家はそれに反撃したりがっかりしたりする必要はないと考えております。ですから、今日、作家本人が出てきて自分の作品について何か語れることがあるとすれば、それは小説の一行目が書かれる前に何が起こったかです。小説が生まれる以前の場所、そこにひととき考えを巡らせることによって、もう一歩、文学に深く踏み込むきっかけを作る役目を果たせたらいいなと願っています。』

講義1 小川 洋子さん

イントロダクション

「小説『ことり』の誕生には三つの偶然があった。その三つがそろった時に、“ああ、これで小説が書ける”」と確信を持った・・・、そう小川先生は語った。進化生物学から見た「言葉」の起源。その言葉で書かれる小説とはどのようなものなのか、そして小川さんはなぜ小説を書くのか…。

イントロダクション

小川 洋子さんの講義はコチラ

第3講「小説の生まれる場所」

小川洋子さん photo:bungeishunju メッセージ 『ことり』を書くことは、なぜ人間だけが言葉を獲得し、物語を書き続けているのか、という問いに直面する経験でもありました。
いったん言葉の届かない場所に立ち、小鳥のさえずりに耳を澄ませるようにして文学と向き合う時、何か新たな発見があるかもしれません。
課題図書 こちらの「課題図書」2冊を必ずお読みの上、ご参加ください。
『ことり』
小川洋子 著
朝日文庫
『ことり』小川洋子 著 朝日文庫
『はじまりは、歌だった
つながりの進化生物学』
岡ノ谷一夫 著
朝日出版社
『はじまりは、歌だった つながりの進化生物学』岡ノ谷一夫 著 朝日出版社
講座日時 2016年12月3日 13:00~14:30
募集人数 50名様

小川洋子プロフィール

1962年、岡山県生まれ、早稲田大学第一文学部卒。

1988年『揚羽蝶が壊れる時』で海燕新人文学賞を受賞。1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞受賞。主な著書に『やさしい訴え』『ホテル・アイリス』『沈黙博物館』『アンネ・フランクの記憶』『薬指の標本』『夜明けの縁をさ迷う人々』『猫を抱いて象と泳ぐ』等。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞。『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞。2013年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。2007年7月より芥川賞選考委員。

第4講  講師 葉室 麟さん「歴史小説を書いて考えること」
司会進行 羽鳥 好之 文藝春秋編集担当

葉室麟さん講義より抜粋

『―歴史の話はなかなか盛り上がりません。人の生き方やモラルの話は盛り上がるのですが、歴史は遠いものなのでしょう。だから、僕はせめて時代小説の中で、日本人が本来持っているモラルを表現することで、日本人とは何かを考えたいと思っています。『日本人の肖像』は、毎日新聞の西部版に連載した原稿をまとめたものですが、歴史上の人物を通して日本を見つめ直したものです。今年は司馬遼太郎先生が没後20年という節目でもあり、司馬さんとドナルド・キーンさんの著書もあわせて課題図書にしております。』

講義2  葉室 麟さん

イントロダクション

第20回司馬遼太郎賞を受賞した葉室麟先生。『鬼神の如く 黒田叛臣伝』という作品での受賞。現役の小説家として司馬遼太郎作品に精通し、ある種の“遺産”も引き受けている葉室先生が、先達の歴史や時代小説家について思うこと、日本の歴史について考えること、そして小説に込める思いとは…。

イントロダクション

葉室 麟さんの講義はコチラ

第4講「歴史小説を書いて考えること」

葉室麟さん photo:bungeishunju メッセージ 歴史小説を書いていると、日本とは何かを考えずにはいられません。そして日本を知るためには日本の文化を考えねばならないようです。司馬遼太郎、ドナルド・キーンという大先達に学びたいと思います。
課題図書 こちらの「課題図書」2冊を必ずお読みの上、ご参加ください。
『日本人の肖像』
葉室麟著
講談社
『日本人と日本文化』
司馬遼太郎著・
ドナルド・キーン著
中央公論新社
『日本人の肖像』葉室麟著 講談社 『日本人と日本文化』司馬遼太郎著・ドナルド・キーン著
講座日時 2016年12月3日 15:30~17:00
募集人数 50名様

葉室麟プロフィール

1951年、福岡県生まれ、西南学院大学文学部卒。

地方紙記者、ラジオニュースデスク等を経て、2005年『乾山晩愁』で歴史文学賞を受賞。2007年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞。2012年、『蜩ノ記』で直木三十五賞を受賞。現在、「文藝春秋」誌上で安政の大獄を主題に『大獄』を連載中。