第1回 in 東京大学のレポート

「人生に、文学を。」オープン講座

【in 東京大学 本郷キャンパス 2016年11月6日(日)】

記念すべき第一回目の講師は、直木賞作家の村山由佳さんと芥川賞作家の西村賢太さん。両氏の生のお話が聴けると楽しみに、両講座、約50名の方が東京大学に集まりました。
大学という学びの場で、改めて文学と自分の人生との関わりについて考える、きっかけの講座、いよいよスタートです。

第1講  講師 村山 由佳さん
「モラルハラスメントと自由〜透明な鎖をどう断ち切るか」
司会進行 柳原 孝敦 東京大学文学部 准教授 総話 沼野 充義 東京大学文学部 教授

村山由佳さん講義より抜粋

『―ノンフィクションが人を救いにくいのは、転嫁しにくいから。でも、それが物語というカタチを身にまとったとたん、読む人にとって自分の物語になる。この主人公は私のことかも、脇役は私に似ている、あるいは、俺は相手にこんなことしてないかなと。そう思った時に初めてその物語が自分にとって特別なものになる。そしてその中に対処の仕方なり心の置きどころを見つけてもらえたら、どんなにいいかなぁというのが私が物を書いて行く上でのスタンスです。』

講義1 村山由佳さん

イントロダクション

受講者への課題図書『放蕩記』は、母と娘の確執や精神的な駆け引きを、最新作『ラヴィアンローズ』では、主人公の咲季子が夫に精神的な被害を被るといういずれも“モラルハラスメント”を描いた作品。まだ“モラルハラスメント”という言葉がない頃に連載をはじめた『放蕩記』は、どのように書かれ、そして社会にどのような受け入れられ方をしたのか・・・。
実用書では届かない、“小説だからこそ届く領域がある”と語る村山先生が、自らのモラルハラスメント体験を小説にすることで伝えたかったこととは…。

イントロダクション

村山 由佳さんの講義はコチラ

第1講 「モラルハラスメントと自由~透明な鎖をどう断ち切るか」

村山由佳さん メッセージ 家庭という密室の中で進行する、支配と被支配の関係。
夫と妻、母と娘など、近しい間柄であるほど生じやすいそのいびつな関係から、どうすれば自由になれるのか。
二つの小説と、皆さんとのディスカッションを通して、その方法を探ります。
課題図書 こちらの「課題図書」2冊を必ずお読みの上、ご参加ください。
『放蕩記』
村山由佳著
集英社
『放蕩記』村山由佳著 集英社
『ラヴィアンローズ』
村山由佳著
集英社
『ラヴィアンローズ』村山由佳著 集英社
講座日時 2016年11月6日 13:00~14:30
募集人数 50名様

村山由佳プロフィール

1964年、東京生まれ。

大学卒業後、会社勤務、塾講師などを経て、93年『天使の卵~エンジェルス・エッグ』で第6回小説すばる新人賞を受賞。

2003年『星々の舟』で第129回直木賞を受賞。

主な著作に『翼』『すべての雲は銀の・・・』、第4回中央公論文芸賞・第22回柴田錬三郎賞・第16回島清恋愛文学賞を受賞した『ダブル・ファンタジー』、『おいしいコーヒーの入れ方』シリーズなどがある。他の著書に『ダンス・ウィズ・ドラゴン』『天翔る』『放蕩記』『天使の柩』などがある。

第2講  講師 西村 賢太さん「“私”の小説の流れ」
司会進行 阿部 公彦 東京大学文学部 准教授 総話 沼野 充義 東京大学文学部 教授

西村賢太さん講義より抜粋

『―やっぱり僕はいまだに、この田中英光と藤澤清造だけしか読んでない。英光も清造も繰り返し読む。なんでこんなに他人の人生に惹かれるんですかね。ただ好きだから、面白いから。それをこうだからとか、自分の幼児体験に照らし合わせてどうこうとか、そういう説明ができるほうがむしろ作ってるだろうと思っちゃう。
とくに藤澤清造。清造に対する思いと、小説を書くモチベーションがイコールなんです。そこから離れると小説が書けなくなる気がするんですよね。』

講義2  西村 賢太さん

イントロダクション

「~本来ならこっちから色々話すべきなんですけども・・・、本当にもう平たく言えば、実は何も用意して来なかったものですから、皆さんからの質疑応答でなんとか逃げ切ろうというつもりでやってまいりました。申し訳ありません!」会場内一同大爆笑とともに始まった講義は終始、“西村賢太ワールド”全開。
なぜ、田中英光に傾倒し、藤澤清造の没後弟子たらんとするのか。そして、西村先生が考える私小説家とは…。

イントロダクション

西村 賢太さんの講義はコチラ

第2講「〝私〟の小説の流れ」

西村賢太さん メッセージ 小説の〝押し着せ〟は、するもされるもイヤなので、あくまでも〝無駄談義〟を。
課題図書 こちらの「課題図書」2冊を必ずお読みの上、ご参加ください。
『藤澤清造短篇集』
藤澤清造著、西村賢太編
新潮文庫
『田中英光傑作選
オリンポスの果実/さようなら 他』
田中英光著、西村賢太編
角川文庫
『藤澤清造短篇集』藤澤清造著、西村賢太編 新潮文庫 『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他』田中英光著、西村賢太編 角川文庫
講座日時 2016年11月6日 15:30~17:00
募集人数 50名様

西村賢太プロフィール

1967年、東京都生まれ。中卒。

2007年に『暗渠の宿』で第29回野間文芸新人賞受賞。

11年『苦役列車』で第144回芥川賞を受賞。

刊行準備中の『藤澤清造全集』を個人編輯。

文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』『田中英光傑作選』を編集、校訂、解題。

著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『廃疾かかえて』『随筆集 一私小説書きの弁』『人もいない春』『西村賢太対話集』『一私小説書きの日乗』『寒灯・腐泥の果実』『小説にすがりつきたい夜もある』『疒の歌』『棺に跨がる』『下手に居丈高』『無銭横町』『東京者がたり』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』などがある。